榎土敦之のコラム「この夏、大胆に変身」

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この夏、大胆に変身

昨日、財布を無くした。
たぶん会社のトイレに置き忘れたと思うのだが、出てこなかった。
ん~。
社内なのに。
なんて会社だ。

事件が発覚した時、実はワクワクした。

なんてったって、初体験。
この「財布を無くす」という事件は僕の人生の中で経験がなかったことなのだ。

中身は、現金、免許証、各種カード等と僕の生活の行動の素となっているものばかり。
現金は1万ほどだが、給料日までの全財産だった。
口座の中には600円くらいしか残っていなかったので下ろしようがないんだけど、そんなこと知らない同僚たちが「早く銀行のカードを止めろ」とアドバイスしてくれたので、止めた。
カードでキャッシングもできない。

そう。
いわゆる「一文無し」になった。
すごいじゃん、オレ。
ワクワク。

ここで気が付いた。
「家に、帰れない」
しかたないので、総務に電車代を借りた。
「月曜には、返します」と言ったものの、返すアテなどない。
どうするんだ、オレ。
わくわく。

普通、なかなかこんな体験できないだろう。
19歳くらいの時に53円しかなくて、部屋にあった油を煮立てて、その中に小麦粉をジュワ~っと入れて、浮き上がってきたカタマリをすくって食べたのを思い出した。
それ以来の「貧乏」となる。
ピンチだ、オレ。
ドキドキ。

って、考えていたら「あぁ、あの1万があったら、酒飲めたなぁ」と思ってしまった。

ここで、本題に入りたいと思う。
やっと。

僕は、友人宅に直行した。
「呑みにいこう! オレのおごりや。ただ、今現金がないから、貸してくれ」
と、よくわからない誘いで、出かけた。

運良く財布が出てきても、現金は消えているだろう。
そうすると、一万損したことになる。
悔しいではないか。
だったら、一万分呑んでやる。できれば、もっと。
で、「1万円分呑んだ。おごってやったしな」って思うことにする。
するってぇと、なくなった一万は、悔しくない。
しかも、太っ腹で気分がいい。

万が一、現金が出てきたら、それを友人に返す。
どうせ無くなった金だ。
なんだか、タダで呑めた気がするではないか。

考えようで、どうとでも取れる。

みなさん。
もしお金を無くしたら、同額、もしくはそれ以上思い切って使おう。
すると、あら不思議。
普段では考えられない大胆なあなたに。
この夏は、これでキマリ。

お金なんてものは、気が付くと無くなっちゃってるもの。
だから、有るうちに早く使わないとね。
もったいないじゃん。

ところで、月曜、どうやって会社にいこうかな。