榎土敦之のコラム「高級雑誌」

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高級雑誌

先日、会社の子がVIPが読むという雑誌を持ってきた。
あえて雑誌のタイトルは言わないが、ものすごい雑誌だった。

内容と言えば、「この美術館に行くなら、セ○シオが似合う」とか「旅行に行くならこのカバン」なんてカバンだけで100万を軽く超えちゃってるようなものなのだ。

車のコーナーも、国産なんてのは前出のものくらい。
「ロール○のファン○ムの新型が出ました」なんてのばっかり。
ちなみにファン○ムってのは、買う時に身辺調査があって、ふさわしい人じゃないと売ってくれないって代物なのだ。

旅行の紹介も、桁違い。
一週間200万くらいのプランが普通。
しかもお一人様。

まぁ、ここまで書けばどんな雰囲気なのか分かってもらえたかな。

でもね。
悲しいというか、不思議なことがあってね。

その雑誌の値段が、800円なのよ。

バブルを経験した人なら、覚えている人もいるかも知れないが、当時は1万円の雑誌とかあったんだよね。
趣味が悪いんだけど、金色の封がしてあって。
もちろん中なんて覗き見できない。
VIPの生活ってどんなんだろうみたいな、夢があった。

情報さえVIPだった。

でも今は、僕のような貧乏人でも内容を知ることが出来ちゃう。
もちろん買えないけど、憧れがなくなっちゃうんだよなぁ。

不動産屋なんかも、VIP専門ってのがあって、素人じゃ存在すら知らない。
でも確かに、物件もあり、住んでる人もいる。

そういう秘密というか、謎めいた部分がいいのになぁ。

それが800円ってのはなぁ。
知識さえVIPってのがいいのに。

もちろん今も、僕なんかの知らない雑誌があって、僕なんかの知らないものすごい情報があるかもしれない。

それに期待している。