榎土敦之のコラム「占い」

おみくじ.jpg
占い

占いというものは、ものすごいことを言うと思う。

子供の頃に読んでいた雑誌には、星座の占いに加え、その月にそうするとラッキーな髪型を教えてくれるコーナーがあった。
「8月。水瓶座。周囲をあっと驚かせるような大胆な発言で、少し浮い た存在になるかも。髪型は、ベリーショートにして、頭を冷やして」
「9月。水瓶座。運勢は好調。待っていても新しい恋が始まる予感。髪 型は、レイヤー・ロングで大人っぽく」
などと、むちゃくちゃな要求をしてくる。

奥さんの運勢の仕事について「適職は、芸術家か力士」と、とんでもないことが書いてあった。
まぁ、だいたいどの星座にも、芸術家タイプって書いてあるものだが。
力士ってねぇ・・・。
体つきとか、運動能力で決めるもののような気もするんだけど・・・。

先日行った占い師さんに「僕、作詞の仕事、どうなんでしょう?」って聞いたら。
「あなたは、医師か教師があってます」
「いやいや。作詞の仕事、やってるんです」
「ん~。あなたは、医師か教師です」
「いやいや。作詞しちゃって大丈夫なんでしょうか?」
「医師か教師です」
なんて、この歳からじゃもうどうしようもないアドバイスをくれたり。

ここまで書くと、占いなんて大っ嫌いなんだと思われるかも知れないが、そうではない。
むしろ、大好きだ。

密かに「目覚ましテレビ」の星座順位なんか、きになっちゃったりしている。
順位が後半だと、一瞬ブルー。
なせか1位になることは、ほとんどない。
たま~に2位とか3位だと、嬉しかったりする。
いずれにしろ、家を出た時には、忘れている。

占いのいいところというか、すごいところは、その無責任が許されちゃってることだ。
「こうしたらラッキー!」と言い切っておきながら、その実、その通りでなくても責められない。

なにを隠そう、僕はものすごく無責任である。
無責任というと御幣があるが、「こうしなきゃいけない」という状況に弱い。
違うことをしたくなったり、もしくは実際にしちゃって楽しむ傾向がある。

昔、ドラムの仕事をしていたのだが、ドラムってのはほとんどの場合、曲の最初から最後まで演奏しなくてはいけない。
それが耐えられなくなって、一時パーカッションに転向していた。
パーカスってのは、いてもいなくても曲は成り立つ。
いればいたで、曲が良くなる。
実際にライブ中は、カクテル一式をパーカス・テーブルに置いて、曲のシェイカー部分では、本当にシェイカーを振ってカクテルを飲んだ。
その気楽さが、とても心地よかった。
正直、ミュージシャンとしては失格ではあるけどね。

まぁ。そんな意味で占いが大好きだ。